存亡の危機にあったバニョレの蚤の市火事によりとうとう消滅

フランスの多くのメディアは「金属スクラップ市場」と表現していましたが、モントルイユの蚤の市の派生だったバニョレ市の蚤の市が年初に火事で消滅してしまいました。何か怪しい…。政治的な背景が多分にありそうです。
 以前ご紹介していますが、モントルイユの蚤の市からあぶれた業者が一丸となり、近くに店を構えたのがバニョレの蚤の市でした。金属片や金属線などを売る店以外にも古い雑貨を売るスタンドがいくつかあり、たまにお宝に出会うことがあるため、僕も通っていたくらいでした。出店者はほぼ100%北アフリカ系。サウジアラビア育ちの僕にとってはスーク(市場)を思い出します。
 そんな移民によるつつましやかな蚤の市も、昨年の1月にバニョレ市が蚤の市の閉鎖を決定して暗雲が垂れ込めます。一番の問題は、年間5万ユーロもの清掃費用でした。いつ行っても入り口にはゴミがうず高く積まれ、通り全体にもゴミが散乱していて、バニョレ市にとってはハタ迷惑。そして、周辺の都市計画が閉鎖決定に大きく作用したよう。歩いて数分のポルト・ドゥ・バニョレ駅周辺は、開発地区として新しいビル群が建ち始めています。都市計画を進めることで、財源を増やしたいという市側の魂胆が見え隠れします。議会で蚤の市閉鎖が決定された後、業者に通達され、何組かは姿を消したものの、多くは居座っていました。
 そして今年に入り、とうとうピンポイントで蚤の市に点火されました。自然発火とは考えにくい。とにかく約1,000平方メートルが燃え、蚤の市は消滅したのです。将来的にパリ市を拡大させる計画があり、そのためには美しいパリのイメージを壊さないよう整備する必要があるのが大きな理由なのかもしれません。このままでは、モントルイユの蚤の市も一掃されてしまいそう。
 写真は、モントルイユの蚤の市の古着を売るスタンドを写したも
の。周りには新品の生活用品を売る店がほとんどで、古いものというと古着くらいで蚤の市としては全く見応えが無い。どうにかならないものかと思います~。

トモクン


トモクンという名の45歳。在仏27年。ファッションジャーナリスト(業歴17年)は仮の姿で、本当はただの廃品回収業(業歴5年)。詳しくはブログ『友くんのパリ蚤の市散歩』にて。