夏の風物詩となりつつあるパリのミストシャワー・サービス

ヨーロッパ大陸に大熱波がやって来て、フランスだけでも約2万人が亡くなったともいわれた2003年の夏。僕は運悪くずっとパリにいて、我慢に我慢を重ねました。1週間以上、毎日39℃の日が続き、しかも多湿の上に無風。フランスはエアコンの装備がない家がほとんどで、我が家も然り。部屋の中にいるだけで汗が流れ出てきます。窓を開けると暑いので締め切り、日光を遮断するためにガラス部分を⿊い布で覆いました。暑くて寝られないし、居ても立っても居られない。人間の限界を見た気がします。以降、夏をいかに涼しく過ごすかという工夫をしはじめ、その後はずいぶんと進歩しました。ただし、エアコンの普及率は相変わらず低い。あくまでも、お金のかからない方法を編み出すことが最優先、というのがパリジャン・パリジェンヌ流。
その大きなヒントとなったのがパリ・プラージュだったはず。シャトレからルーヴル・リヴォリにかけてのセーヌ河岸に砂場やバーがあり、バカンス気分が味わえる、レクリエーション施設で
す。もちろん無料。その中には、飲料水配給コーナーやミストシャワーも設けられています。
それ以降、様々な公園や広場にミストシャワーが作られるようになったのでした。2020年以降、その数は175ヶ所にのぼります。皆さん、涼をとることの大切さが身に染みてわかるようになったのでしょう。いつしか、通りにも設置されるようになりました。
プチ熱波がやって来た今年7月初旬のある日、いつものようにアリーグル市場&蚤の市へ行こうと思ったら、屋根付きの市場の前の道にミストシャワーが設置されていることに気付きました。2025年には24ヶ所が新設されたそうで、その中のひとつだったよう。全身びっしょりにはなりますが、フランスなのですぐに乾きます。湿度が低い国だからこそ、広く普及した施設なのかもしれません。暑い時期にパリにやって来ることがあったら、ぜひ体験してみて下さい〜。
トモクン
トモクンという名の45歳。在仏27年。ファッションジャーナリスト(業歴17年)は仮の姿で、本当はただの廃品回収業(業歴5年)。詳しくはブログ『友くんのパリ蚤の市散歩』にて。
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