漫画+フランス=マンフラ

今月のアート

『ラディアン』トニー・ヴァレント

Tony Valente

Euromanga
© EUROMANGA L.L.C.
Radiant © Ankama Editions,

 「マンフラ」って知ってる?「フランスの漫画」のかばん語だ。日本漫画とアニメーションが80年代以降のフランスで巻き起こした社会現象から出現したジャンル。その代表的な作品は『ラディアン』だとも言えるだろう。現在10ヶ国で出版されているこの冒険ファンタジーは、絵柄はともかく上手いが、メリハリのあるストーリー展開や完成度にも作者の才能が見られる。実は日本のアニメ界も『ラディアン』に興味を持ち、2018年にNHKでアニメ化されている。
 物語は破壊神のような怪物ネメシスが存在する世界。ネメシスを倒せるのは魔法使いだけだ。主人公である魔法使い見習いのセトはある日、そのネメシスと対決して大失敗を起こしてしまい、冒険物語の歯車を回し出す。そこからは仲間との出
会い、異端審問官たちとの戦いなど、驚異の世界の危険と幻と出会って冒険する。
 フランスではジャンルとしてマンフラは主流ではないが、日本漫画様式の影響を受けたバンドデシネは珍しくない。『ラディアン』の作者でさえ、日本の単行本サイズのマンガを描くまでは、バンドデシネの60頁以内カラーのアルバムで幾つかの作品を発表している。80年代生まれの彼は日本アニメや漫画の影響を受けて制作するが、前の世代の作者たちにはアメリカ、ベルギーやイタリアのマンガ家の影響もあった。フランスにおけるマンガ出版では、国内のみならず昔から海外作品も普及して、フランスの読者は様々な絵柄や物語に親しんでいる。その土台があったからこそ『ラディアン』のような作品が人気を集めたのだろう。2013年にフランスで発表されたこの作品は19巻が2024年に発売された3ヶ月後に日本語版も刊行され、セトの物語が10年以上にわたって未だに続いている。

ジャンマリー・プルドン


福岡在住のフランス人。福岡で仏語教室やフランスに関わるイベント企画を通してフランス文化普及に貢献する。Nautilus主宰。