アメリカ・アンティークの首都 アダムスタウンへ爆買いの旅

フランスの蚤の市とは雰囲気がだいぶ違うが、これもまたよし。

 週末はアンティークのお店が大集合している、ペンシルベニア州の街、「アンティークキャピタル」と名乗っている街へ行ってきました。アンティーク好きにはたまらない街ですが電車では非常に行きづらい。そこで車で以前ワイナリー巡りをお願いしたドライバーさんに運転をお願いし、買い物好きなお友達を4人集めてちょっとしたミニツアーを開催することになりました。 

 かなり行きたかったのに一年行かなかった理由はただ一つ。車にトイレがないからであります。お腹ヨワヨワあいちゃん、最近面の皮が厚くなってきたけれどさすがにドライバーさんとお友達がいるのに漏らせない。「止めてください!」って言うのも申し訳ない。赤ちゃんならまだしも。44歳。絶対に車内で腹痛を起こさないプロジェクトを立ち上げ、日本滞在中に大腸に詳しい消化器内科を予約。初対面のお医者さんにこれまでの異常な腹の弱さを滔々と訴えたところ優しくしてもらえた上、4種類の薬をゲット。毎日飲んでおく薬と漢方、当日の朝飲む薬、痛くなった時に飲む薬の4つ。ああ、私これのために日本に来たのかも……うれしい……。最後にダメ押し。ドライバーさんに「腹が弱く、万が一の事態があったらすみません」と突然の告白である。そんな危険な客を乗せたくないだろうに、ドライバーさんから「高速に入れば20分おきにパーキングがあります」と優しい返事に涙。1週間前からもらった薬を飲み続け、当日は2時間前から起きてトイレに座り続け、当日用の薬もしっかり飲んでいざ出発。ニューヨークを出発して3時間、なんと一度もトイレに止まらず到着~!! 

 まずは屋外の蚤の市へ。多分雨の日も風の日もこのまま商品を放置している。掘り出し物なんだろうけど、埃がスゴすぎる。それが30店舗はある。これは相当な目利きか、ほしいものがきっちり決まってないと、ネバーエンディングストーリーであります。ジャンルも幅広く、シカの2頭が転がっていたり、ハロウィン向けの雑誌、アメコミの等身大看板、どでかいライオンTシャツとサングラスかけたラクダぬいぐるみ、店主のキッチュなセンスに圧倒され手も足も出ない。 車で10分くらいの範囲にアンティークショップモールが集合していて、5軒くらいハシゴしました。屋内だと全部ステキに見えるから不思議です。 

 みんな最初「多すぎて迷っちゃう~」など言っていたのが、徐々に興奮しだして、無言に。モールの中で散らばり、最終的には「目が痛い」買い物に。集中しすぎると目にくるらしい。とにかくニューヨーク市内よりもなにもかも安いし幸福度が高い。 私はお腹のことばかり考えていて、下調べを完全に忘れ自らのインスピレーションを信じるしかない。

 これでも代官山のセレクトショップで働いたこともありますしフランス展でパリ蚤の市商品を販売した経験もあるしきっと目利きなはず。自信満々で買った後、裏を見てみると「made in china」。日本からはるばるニューヨークにやってきて、さらに3時間かけて手に入れたメイドインチャイナであった。代官山の目利きの看板、速攻下ろして破壊済みです。

ブタの小物入れ、3ドル。掘り出し物!と買った後に産地シール発見。

吉野亜衣子


ラジオ局を辞め、夫の留学についてパリへ。
帰国後、日仏文化交流のための NOISETTEを設立。2022年で設立10周年。
2024年春よりNY在住。

連載中のトモクンとポッドキャストやってます。