パリコレ会期中に衝動買いした1冊モードの帝王、カール・ラガーフェルド様の漫画本

11月のパリコレ会期中のこと。パリ市庁舎でのヨウジヤマモトのショーまで時間を潰す必要がありました。生憎の雨だったこともあり、パリ市庁舎の目の前のデパートBHVへ行くことに。 フランスのデパートなので、各階にベンチが置いてあるわけでもなく、憩いの場は見当たりません。とりあえず、自分にとって馴染み深い文房具や手芸用品、本を売っている3階に避難。レジ脇の階段の前のわずかなスペースに立ち、スマートフォンで原稿の下書きを執筆することに。目の前には新刊書籍コーナーがあり、視線を上げるたびにお馴染みの顔が目に入ってきます。カール・ラガーフェルド(1933年生、2019年没)。そうです。シャネルのデザイナーを30年以上勤め上げ、モードの帝王として君臨したレジェンドです。 

本の中を見てみると、小難しい感じはゼロのバン・デシネ(漫画)スタイル。ヴォーグの編集長アナ・ウィンターやモデルでデザイナーのイネス・ドゥ・ラ・フレサンジュなど、実際に目の当たりにしている人物や、アーティストのアンディ・ウォーホールやイラストレーターのアントニオ・ロペスなど、基礎知識のある登場人物が多く、これだったらフランス語が苦手な僕でも読み進められそうと思って購入することに。 肝心の内容ですが、ザックリとはいえ、知られざる生い立ちや、長い間彼氏だったジャック・ドゥ・バッシェールをイヴ・サン・ローランと取り合ったエピソードなどが描かれていて、かなり濃厚。さすがはカール様と納得です。運転手兼ボディガードとして最後まで付き添ったセバスチャン・ジョンドーや、愛猫シュペットの元々の飼い主であったモデル兼シンガーのバティスタ・ジャコビーニとの関係性についてなど、逸話は山ほど。分量が多くなってでも、もう少し詳細を知りたかったかも。とにかく、フランス語とファッションに興味のある方にお薦めです。

トモクン


トモクンという名の45歳。在仏27年。ファッションジャーナリスト(業歴17年)は仮の姿で、本当はただの廃品回収業(業歴5年)。詳しくはブログ『友くんのパリ蚤の市散歩』にて。