クリスマスを彩るモミの木第二の人生のための集積所リポート

 先日、17区のバティニョル公園の周りで開催されていた古物市へ行った時のこと。どこからか針葉樹の香りが漂ってきます。ふと見ると、そこにはクリスマスツリーとして使われたモミの木の墓場が広がっていたのでした。
 これまでは、1月になると用済みのモミの木が街中に捨てられ、細かな葉がそこら中に飛び散って大変なことになっていました。セーヌ川で何かがどんぶらこ~と流れて来るのが見え、よく見たらモミの木だった、なんてこともありました。川に捨てる輩もいたのです。そんな状況を重く見た行政。集積所を作って回収し、チップにして肥料にしたり、草食動物の餌にしたりするなど、環境保全に力を入れ出しました。それがここ2~3年程の話。結構遅いですね。
 今年は集積所を181 ヶ所作ったそうで、こちらはその中の1 ヶ所。あくまでも「素の状態でないと捨ててはいけない、ペイントされていたりしてはいけない」と書いてあるのに、これですよ。スノースプレーの真っ白な「雪」で覆われたモミの木が捨てられています。ルールを守れない人は世界中どこにでもいるわけです。
 クリスマスシーズンにおけるモミの木にまつわる産業の規模は大きく、毎年数百万本という数のモミの木が販売されるそう。それらは自然に生えているものを伐採しているのではなく、植林によるものなので、環境にダメージを与えない、ともっともらしいことを謳っているのですが、そもそも、生きている植物をこんな粗末に扱ってし
まって良いものなのか疑問。ヨーロッパ人は「自然は、人間が溶け込むものではなく支配するもの」と信じて疑わない部分があると思うのですが、もしかしたらそんな考えがモミの木への扱いを雑にしているのかもしれません。街を歩いていて、捨てられているモミの木に出くわすと、何となく悲しい気分になるのでした。

トモクン


トモクンという名の45歳。在仏27年。ファッションジャーナリスト(業歴17年)は仮の姿で、本当はただの廃品回収業(業歴5年)。詳しくはブログ『友くんのパリ蚤の市散歩』にて。