年間400 人にニースを案内!日本人向け大人気公認ガイドから南仏を学ぶ

【今月のお客様】
ルモアンヌ・ステファニー さん
現地ガイドであり、SNSでもニースの観光情報を伝え続けるステファニーさ
ん。プロヴァンスとコートダジュールの違いなど、あまり知られていない南
仏の魅力についてお聞きしました。
ニースは200年前から冬のリゾート地
- SNSを始めたきっかけは?
元々ニースは200年前からヨーロッパ貴族の冬のリゾート地でした。今は夏に来る方が多いんですが、冬の良さをアピールしようとSNSを始めたのが15年前。コロナ禍では、「フランス人は生きてます! マスクをちゃんとしています」とアピールするためにインスタライブも始めたんです。そうしたら楽しくって!
- 日本語を学んだきっかけは?
「日本語は絵みたいな文字で面白そう!」と高校で日本語コースを選択しました。まさか文字に3つのシステムがあるとは知らなかったのです(笑)。17歳でパリの大学へ行き、日本語を学び、大阪出身の先生のおかげで日本語が大好きになりました。1年半東京に留学し、ニースに戻ってきました。そこから日本人向けのガイドの仕事を始めて18年で、今までに7000人以上の日本人をガイドしています。
- どうして日本文化が好きなの?
フランスと全てが違うし、古い町並み、昔の女性の着物が大好きだから。14歳の時は日本人になって芸者になるのが夢でした。今は御朱印を集め始めています。そして、日本は人が優しいです。あんまり嘘をつく人がいない。フランス人はあんまり真面目じゃない(笑)。
- じゃあ日本に住みたい?
うーん。日本は大好きだけど、人の目を気にしないといけないから少しプレッシャーかも。いくつになっても好きな色の服を着たいし、ストッキングは履きたくない。自分の子どもにも、「人のことじゃなくて自分のことを考えろ」って育てていますからね。
プロヴァンスとコートダジュールは全然違う
- ニースはプロヴァンス?コートダジュール?
難しいですよね。(笑)。ニースはコートダジュールです。南仏には、プロヴァンスとコートダジュールがあります。プロヴァンスで一番有名なのがマルセイユ、アビニョン、エクサンプロヴァンス。
コートダジュールは「紺碧色の海岸」という意味で、諸説ありますが、カンヌからイタリアの国境ギリギリのマントンまでの海岸線です。プロヴァンスより物価が高めで、リゾート地。プロヴァンスはフランスの一部で、コートダジュールの東半分は1860年代まではイタリアだったのでイタリアっぽいんです。
- 気候も違う?
プロヴァンスは内陸部なので冬は寒く、ラベンダーが咲く夏は35度くらいで暑い。それに対してコートダジュールは年間300日晴れ。冬も明るくて雨もあまり降らないから、ルノアールの時代からいろんな画家が冬にやってきて芸術家の町としても有名なんです。
夏は30度、冬は日中は15度くらいで、ホテルは安くて混んでないから、泳がないなら冬がおススメ。私はニースっ子なので海があれば当然泳ぐけど、日本人は夏でも水着を持ってきてない方が多くて最初ビックリしましたね。
- ニースがパリと違うところは?
ファッションにこだわりがなくて、シンプルな生活が好きなところ。カゴバックを持ってプラプラ歩いてマルシェに行くのが好きな人におすすめです。パリは東京、ニースは神戸のような感じで、海と山があってごはんが美味しくて人が親切。
- ニースでおすすめの観光スポットは?
エズ村は有名で人気ですね。海に囲まれて、石畳の路地が迷路みたいで、別名「鷲の巣村」と呼ばれています。綺麗なので皆さんが行きたいのが分かりますが、観光地なので夏はすごく混むんですね。「ヴィルフランシュ・シュル・メール」というエズ村近くのヨットハーバーは海が綺麗で小さな村やレストランがあってそちらは穴場でいいところですよ。
あとはサン・ポール・ド・ヴァンス。中村江里子さんが結婚式を挙げた教会があります。マントンはイタリアそっくり。海が綺麗でレモンで有名な街で、歴史的にも複雑なアイデンティティをもっています。このあたりには1000年前から残っている村がたくさんあって、敵が来ないように、カタツムリのように山の上に要塞を建てて、自給自足で暮らしていたんです。
- これからしたいことは?
少し前にコートダジュールについてのフォト・エッセーを出版しました。今は2冊目を書いています。南仏の食卓がテーマで、私のおばあちゃんのレモンのタルトのレシピや、日曜日は何を食べるかとか、読んでいくうちに観光の参考にもなるような本にしたいと思っています。いずれ、日本でもフランス人相手にガイドをしてみたいな。
