パリの老舗百貨店BHV社会問題化し存続の危機に

 フランス在住の日本人の間では、“パリのハンズ”とも呼ばれる、パリ市庁舎前に位置する百貨店、BHVが存続危機に陥っています。僕は専ら、地下で売られている工具類や器具、ネズミ用の罠、ペンキやネジなどを購入。とてもお世話になっています。それで、今年の初めに修繕用の部品を買いに行ったところ、売り場の寒々しさにビックリしました。棚から商品が消えています。きっと改装をするのだろうと思い込んでいたのでしたが、実際は全く違ったのでした。
 事の発端は、2023年末に買収した親会社によるずさんな経営。業者への支払いは滞り、累積赤字により人員削減が続き、維持管理に問題が発生していました。2025年末には中国のオンラインのファストファッション企業Sheinが6階に常設店を出店させたことで、他のファッションブランドがイメージを損なうと反発。相次いで撤退したことが追い打ちを掛けました。売り場はご覧の通り、がらんどうです。売り上げは一気に80%ダウン。
 年末までにSheinは撤退し、親会社は現在の経営陣に経営権を売却。今後は、定評のあったDIYの売り場を充実させ、家庭用品を中心にした品揃えで原点回帰をし、2028年までには黒字化を目指す、と宣言。ただ、会社は破産状態にあるとも噂され、先行きは不透明です。インターネットを介した売買が主流となりつつある現在、店舗での小売業自体が衰退していて、以前のような盛況さは取り戻せないだろうというのがパリジャン・パリジェンヌの大方の意見。元の親会社の社長である、Sheinの出店を促したリヨン郊外出身の若き実業家、フレデリック・メルランこそがBHVを破壊した張本人、と言われていますが、赤字を抱えていたBHVを購入し、更に赤字を増やして売却して自らの資産を減らしています。誰も幸せにならなかった買収劇と誘致。そして、今後も苦戦が予想されます。BHVでしか手に入らないものもたくさんあり、早期の復活を願っているのですが、行く末はいかに~。

トモクン


トモクンという名の45歳。在仏27年。ファッションジャーナリスト(業歴17年)は仮の姿で、本当はただの廃品回収業(業歴5年)。詳しくはブログ『友くんのパリ蚤の市散歩』にて。