フランスで農家になって10年目――日本野菜のおいしさを伝える

【今月のお客様】

東海林杏奈 さん

今回は、ロワール地方で10年前から日本野菜のファーム「yasai france」を営む東海林杏奈さんにインタビュー!元々はフランスへ渡る日本企業の実
務的な補助をする国際プロジェクトコーディネーターとして活動していた杏奈さんですが、農家に転身した理由は?フランスで農業をするってどんな感じ?日仏の「野菜」のとらえ方についても伺いました。

量り売り文化と
野菜の大きさの関係


 例えばカブとか、小松菜、水菜、あとはダイコン、レンコン、キュウリ、ナスも。あとはシソやミョウガがすごい人気。シソは受け入れられやすい香りで、ミョウガはなかなかこちらでは見つからなくて「日本でミョウガを食べたんだけど、ここで買える?」と聞いてくるフランス人もいます。シソの苗も販売していて、自分で育てる方もいます。フランスだとシソが高いんです。

こっちは野菜といえばサラダか、ラタトゥイユやラグーみたいに柔らかく煮て、ソースをからめる調理方法で、インゲンは40分茹でてピューレにしたり、カボチャは必ずポタージュにしたり。日本ならカボチャは切って焼くだけでおいしいんですが。遡って考えたら、ヨーロッパは狩猟民族、日本は農耕民族と元々の食べるものが違って、日本は野菜や植物そのものをおいしく食べる方にフォーカスするのに対してヨーロッパはお肉がメインで野菜は付け合わせなのかもしれません。
 日本のキュウリも、畑で放っておくとこちらで見るようなサイズまで大きくなるんですよ。日本ではキュウリは小さくても一番美味しい時期に収穫する。フランスは量り売り文化の影響なのか、収
益を考えて野菜を大きくしたい気持ちも農家としてはわかる。


 うちの水ナスは生でも食べられるよと言うとすごく驚かれますね。カブだって日本のものはフルーツみたいに甘くて柔らかい。フランスのカブはスープにして楽しむ感じです。カブが好きじゃないフランス人もうちのカブはおいしいと言ってもらえることが多いから、やっぱり品種改良と食べ方で野菜の美味しさは違ってくると思います。

パリから1時間の
新ファーム設立

両親の考えで、私は幼稚園から高校まで日本にあるリセ・フランス(現東京国際フランス学園)に通っていたんです。学校の友達はフランスやカナダやベルギー、アラブの子もいました。小さい頃からいろんな文化の違いに触れていて、フランスのことを知りつつ、日本のいいところを知らせたい気持ちはあったかもしれません。

パリで仕事を始めた何年か後に、あるプロジェクトで通訳としてアルジェリアへ行った時に日本野菜を作ってる日本人がいたんですね。アルジェリアは年中同じ野菜しかなくて、季節感のある野菜を食べたくて作っていたんです。東京生まれで田舎に憧れていた私は、種をまくと野菜になることにまずびっくり!収穫してそのままかじったらめちゃくちゃ美味しくて、そこから野菜を作りたくなった。それで仕事を辞めて、日本の農業学校に行ったり、日本全国の農家の人たちに会ってお話を聞いたり。農業ってやり方が無限にあってすごく面白い。私は自分が毎日そのまま食べられる
ような野菜を作りたかった。それから一人でロワールの田舎に家を借りて農家を始めたんです。

 私は元々フランスでスタートアップする日本企業の物件探しから弁護士や会計士探し、定款作成などが仕事だったので、その経験は活かされたかな。それでも最初はほとんど農業をわからずに始めたので、近くの農家の人が毎週末手伝いに来て教えてくれました。他にも木を探してるときこりを紹介してくれたり、電気の工事もやってくださったり。お金を払おうと思ったら、困ってないからいいと断られました(笑)。

フランスにパンやワイン、チーズの勉強に来る日本の方がたまにいるんです。今後そういう人たちに向けて、農業・就農支援ができたらいいなと思っています。言葉や法律が難しい部分のお手伝いができれば。今まではそんな余裕はなかったんですが、最近畑から顔を上げて周りも見られるようになったかな。私もたくさん支援してもらったので、応援できる側になっていきたいです。
 4年前からパリ近郊で日本の食文化を発信する参加型農村「MURA」を日本人女性4人で始めたのですが、この5月に新しいファームを始めるんです。パリからも1時間以内で来れる場所なので、みんなが集まる楽しいファームにしたい。農家は休みがないので、友達やいろんな人が遊びにきてお庭でご飯を食べてるだけで、私もバカンス気分が味わえるかな。


【苗販売のお知らせ】2026年5月22日~ 24日にオペラ座
で苗販売を開催予定。

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