制作は朝から夜まで、時間をかけて「良いもの」を――パリ・ベルヴィルで活躍する日本人デザイナー

【今月のお客様】
宮 白羊 さん
ファッションの最前線であるパリにアトリエを持つ日本人デザイナーの宮白羊さん。「HAKUYO MIYA PARIS」のブランドを持ち、レディースのプレタポルテ(高級既成服)を一人で制作し続けて今年で10年の節目を迎えます。パリでのお仕事の話、服飾専門学校時代から現在までを伺いました。
20点中5点だった服飾専門学校時代
- フランスに来た経緯は?
元々ファッションは好きで、大学時代はバイトでアパレルの販売員をしていたんですがつまらなかった。それならデザインをやりたいな、どうせなら海外行こうと。ファッションの留学はパリ・ロンドン・ミラノと限られていますが、せっかくだから英語以外の言語が学べる場所にしたかった。パリに憧れがあったわけでもなくて、イメージ的にミラノよりパリかなという感じで決めました。
- 知らない言語での学生生活はいかがでしたか?
本気でやればなんとかなりました。僕の母がロシア語の通訳で、父も写真家で海外にいろいろ行っていて、言語に強い二人に言われたのが、日本人とつるまないこと。最初の半年間はトゥールーズにいましたが、驚くほど英語が通じない。そうすると、まず伝えられるかどうかが第一。伝えようとすれば、だんだん友達もできますし、日常会話の上達は早い気がしますね。文法は後からでもいい。
- パリの服飾専門学校時代は大変でしたか?
厳しかったですね。言葉ができるようになったと言っても、専門学校にいるのは10代~ 20代前半のフランス人の子ばかり。その中で喋ったり聞いたりするのは大変です。それと元々服飾を勉強してきていないので、専門用語が全然わからない。
何をやるにも点数をつけられ、隣で10代の子は20点満点中8点だったと泣いてて、僕は5点だったことも(笑)。
- どうやって乗り越えたんですか?
完璧に言葉を理解することに注力するよりも、人より時間をかけていいものを作るようにしたんです。フランスの学校は面白くて、例えば日本では鉛筆でという指示が出た時に鉛筆以外を使ったら点数がつかない。でもフランスは意外にそれが通ったりする。先生を納得させられれば良い。そういう中でいいものを作ることにシフトしたら、点数が上がってきた。課題も多くて朝までやって終わらなかったこともありました。でもやりたいことが見つかった実感はありましたね。スタージュ(研修)も含めて学校に4年通い、その後フリーランスで働きながら自分のブランドを立ち上げるまで4年かかりました。
「布」が「服」になる すごさと面白さ
- デザイナーの1日を教えてください。
朝からずっと作ってますよ。朝起きて、住んでいるベルヴィルのカフェでエスプレッソを1杯飲んで、近所の人と井戸端会議をして。あとはずっとアトリエで制作ですね。生地を買いに行ったり外出もありますけど、基本は制作。手を止める暇がないので、手を動かしながら次のことを考えている。普段は夜の9時10時頃まで、基本7日間休みなしです。友達に飲みに誘われた時には行けるように先に仕事を進めておくんです(笑)。
- パリでこの仕事をする意味は?デザイナーを目指す人にアドバイスはありますか?
結局、パリがファッションの最前線なんです。洋服はどこでも作れますけど、もし何か本気で勝負したいなら結局ここなので、残れるうちは残ろうかなと思いますね。どんな状況でも続けていれば勝ちだと思います。諦めずに続ければ、奇跡は起きないかもしれないけど、続ければ続けるほど可能性は上がるじゃないですか。
- 仕事をしていて一番嬉しかったことは?
家族や知り合いが気に入って買ってくれるのもありがたいけれど、完全に僕のことを知らない人が僕の服を手に取って着ているのは、やっぱり嬉しいですよね。そういうお客さんに支えられてきているなと思っていますよ。
それに、洋服を作るのは楽しくて、商品というよりは、作品として作っている感じです。すごくシンプルな話ですが、布がちゃんとした服になるってすごいことだと思うんです。それが自分の手でゼロからできるのは、今でもすごいなと思いますね。
- これからやってみたいことはありますか?
今年はブランド設立10周年なので、6月に東京でショーをやるんです。これを機に、年に1回くらいはショーができたらと思いますね。今回はスポンサーに音楽レーベルもついて演出も入っているので、いろんな方に楽しんでもらえるといいなと思っています。
Hakuyo Miya Paris POP-UP STORE(大阪)
2026年5月19日(火)〜5月24日(日) 会場:KAINO
梅田店 2F(阪急「大阪梅田駅」より徒歩6分)
Hakuyo Miya Paris 10th Anniversary Show /
TOKYO COLLECTION 2026
2026年6月6日(土) 会場:Spiral Hall 青山(東京メトロ
「表参道駅」B1出口前、またはB3出口より徒歩1分)


