スーパーから突然姿を消す卵品薄の理由はうやむや

6月半ば過ぎに面倒なことが起きました。一瞬でしたが、世の中から卵が消えたのです。スーパーの棚はご覧の通りほぼ空っぽ(写真)。どうしたものかと思ったら、時を同じくして、持続可能な農業を支援することを目的とするNGO団体、Générations Futuresが、魚や卵、甲殻類等が有機フッ素化合物によって汚染されており、その濃度が高いと訴えました。
フランスは、2026年の元日より有機フッ素化合物(PFAS)を含む特定の製品の製造や輸出入を禁止することを決定しています。汚染物質を極力排除する傾向が強まっているのですが、それはどうやら関係がなかったよう。今年になり、特に放し飼い鶏による卵については需要に対して供給が追い付いていない旨が指摘されていて、そちらの方が品薄となった大きな理由だったようです。
スーパーの張り紙には「放し飼い鶏による卵は当局により制限されている」としか書かれていません。もしかしたら、フランス全土の流通のバランスを調整するために時間を要したのかも。とにかく、卵はあっという間に品薄に。いつも2ユーロ台(約400円)の6個入りパックを買っているのに、この日は仕方なく5ユーロ(800円強)近いものを泣く泣く購入。
どういった経緯で品薄に至り、どんな結果を招いたか、そして今後どうなるのかといった細かな内容が発表されることはなく。それは、米騒動で揺れているどこかの国と大して変わらないのかもしれません。フランスは、とかく政府や省庁の権限が強大で、卵の流通を操作することなんて簡単。次の日には、スーパーの棚は卵のパックでいっぱいになりましたが、結果的にはうやむやにされてしまった印象です。日に3個卵を食べる僕にとっては、貴重な蛋白源が消滅するとなると強い危機感を抱きます。とてもやきもきしたのでした~。
トモクン
トモクンという名の45歳。在仏27年。ファッションジャーナリスト(業歴17年)は仮の姿で、本当はただの廃品回収業(業歴5年)。詳しくはブログ『友くんのパリ蚤の市散歩』にて。
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