なぜパリで日本画?ハトと花を愛する新鋭日本画家にインタビュー

【今月のお客様】
大塚 竜駆 さん
今号では、グラフィックのお仕事をしながら、パリで日本画家として活動している大塚さんにインタビュー!大塚さんの絵のモチーフはハトと花。なぜパリで日本画を描いているのか?フランス人の日本画への反応は?また将来の野望までお聞きしました。
終わりのない奥深さにハマる
- 日本画のお仕事について教えてください。
月に一枚は絶対描くようにしています。インスタで絵の依頼をいただいたり、グラフィックの仕事関係の方からイベントのコラボのお誘いがあることもあります。レストランやアソシエーション
を使って発表したり、今年の初めにはみなとみらいでもグループ展に参加しました。。
- パリにきたのはいつ?
高校時代はアメリカに留学していたんですが、その後フランスに来たのが9年前です。ニューヨークにあるパーソンズ美術大学のパリ校を卒業しました。卒業後は高田賢三さんの家具ブランド「K3」で、デザイン画を何枚も描いたり、ルイ・ヴィトンで短期で働いていたこともあります。
- いつから日本画を?
日本画は、学生の頃から興味があって、大学では日本画史を勉強をしていました。3年ほど前から1人で描き始め、日本画の先生のもとで勉強させてもらっています。描き方も独特なので、いわゆる日本の流派には入っていないですね。
- なぜ日本画を選んだの?
自分が日本人で、それがアイデンティティのベースかなと思っているので。他も試してみたんですが、日本画は色の繊細さも出るし、奥が深くて、常に学ぶところがあるので、終わりがないのがいいなと思いますね。フランス人には「何それ?」って最初に言われます。興味をもってもらえるし、絵を見せると「きれい」「うまいね!」とか、「何が違うの?」とかいろいろ聞かれます.
- パリで日本画を描く理由は?
だって、日本で日本画をやったら埋もれませんか?僕みたいな鼻ピアスしてる日本人が気に入られるとは思わないですしね(笑)。料理と似ていると思うんですが、日本人がフランスに来てフレンチを学んでも、フランス人の作る本場の料理にはかなわないと思うんですよ。何をもってフランス料理というかということかな。日本人でももちろん有名どころもいますけど、そういう方は独自性
を持たせているから強いわけであって。学ぶこと自体は本場でいいと思うんですけどね。
タトゥー屋で学べたことって?
- フランス語は堪能?
渡仏した頃はほぼゼロでしたが、地元のタトゥー屋に1年間勤めてフランス語が話せるようになりました。タトゥー屋はちょっとブラックでしたが、いい経験でしたね。デザインの他にも掃除とかいろんなことをやりました。その後、京懐石料理でサービスとして働くようになったので、自分のフランス語のトーンを直したんです。タトゥー屋でのフランス語は、魚屋とか配達業の兄ちゃんとかに使えるんですけど、お客さんには使えないので。裏でもめ事とかあると、そういうトーンで強気に出れるんですけどね。コロってしゃべりかた変わりますよ(笑)。
- ある一日の過ごし方を教えてください。
何もない日は一日絵を描いています。朝は8時半頃に起きて、定番の朝ご飯を食べてシャワーをあびて、事務作業を午前中に片づけて、午後はゆっくり絵を描きます。日によりますけど、昼はおいしそうな野菜や肉を買って、焼いたりソースで煮込んだり、時間をかけて料理をしますね。たまに休憩でセーヌ川沿いの自由の女神像まで散歩してタバコを一服して帰ったり。そのあと夜12時~ 1時まで描きます。1人の時間も好きですが、友達やお客さん、ギャラリーのみんなとご飯を食べに行ったりすることも多いです。人付き合いって何が起こるかわからないというか、話が予想外に繋がっていくことも多いので大事にしていますね。僕は自営業者なので(笑)。
- なぜハトがモチーフ?
ハトはどこにでもいるんですよね。ルーツをたどると、伝書鳩だったり、キリスト教だと神聖な動物として扱われていたり、人間の歴史と深いつながりがある。今のハトは嫌われ者なんですけど。あと、ハトって近くで見ると綺麗な個体が多いなと思うんです。
- 今後やりたいことは?
アーティストとしてきちんとやっていきたいのと、職人をサポートできるような立場の人間になりたいです。今の時代、AIが出てきたり、物の簡略化が激しいのに、クオリティは下がって、職人や、手を使う人の仕事がなくなっている。器を作る人や、仏師とか塗師とか、そういう技を持つ人を一緒に仕事したり、展示会したりしたいなと思っています。フランスにもそういう人はいるので、ご縁があるところからやっていきたいです。



