音のズレやノイズも魅力のひとつ ―トイピアノアーティストに聞くトイミュージックの世界

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赤井 由絵 さん
今回は、トイピアノアーティストであり、音楽レーベル「Novel CellPoem」のオーナー、赤井由絵さんにインタビュー! 赤井さんは、沖縄・東京の2都市を拠点に、音楽制作・プロデュース・舞台演出活動をされるほか、ご自身も400台あまりのトイピアノを持ち、2021年には文化庁Arts for the future補助対象事業「100台のトイピアノ展」を開催。30年にわたり、おもちゃ楽器を使ったトイミュージックの普及にも努めてきた赤井さんにその魅力を伺いました。
子ども向けでもアバンギャルドOK!なフランス
- 現在の活動について教えてください
今は、トイピアノフェスティバルの開催や、舞台作品の演出、音楽制作をメインに行っています。元々は、1998年にトイミュージックのレーベルを立ち上げて、主にフランスのアーティストを紹介していました。トイミュージックの巨匠パスカル・コムラードやクリンペライ、ドラジビュスなどのミュージシャンのコンピレーションアルバムをHMVと一緒に制作し、当時はエクスペリメンタルミュージックの枠で紹介されてきた音楽にトイミュージックというジャンル名を新たに作り、広めていきました。
- トイミュージックには具体的にどんな音楽がありますか?
決まった概念はないですが、おもちゃ楽器を使って作られた音楽として幅広く、インストゥルメンタルミュージックが多いのですが、先ほど話したドラジビュスは童謡をパンク風に演奏したり、アバンギャルドな感じもあって、キリンの被り物をして幼稚園ライブなんかもしていました。フランスでは子ども向けでもアバンギャルドなものを受け入れる文化があるので、あちらでは親子向けですが、日本では大人のリスナーに受け入れられていています。フランスは子どもむけのショーやスペクタクル(公演)も大人が見ても十分楽しめるクオリティーで、ドラジビュスは移動サーカスの音楽も作っていて、私にとってもサーカスの音楽はすごく記憶に残っていますね。
それぞれ音色の違うミシェルソンヌ
- トイピアノについて教えてください。
古いおもちゃ楽器自体はアメリカ製や日本製のものが多いのですが、フランスのミシェルソンヌ(Michelsonne)のトイピアノは、クオリティが高く別格です。音量が非常に大きく、マイクがなくても小学校の体育館に響き渡るほどです。残念ながら現在は生産されていませんが、今なお新たなファンが増え続けています。
一般的にトイピアノは調律不要な反面、正確な音律のものはごく僅かです。でもミシェルソンヌはピッチのズレがほぼなく、ハンマーもしっかり連動するためミスタッチを防ぐことができます。適度な鍵盤の重みがあり、鍵盤幅もグランドピアノ等と同じでとても演奏しやすいです。音色も驚くほど澄んでおり、「おもちゃのピアノ」の一言では片付けられない魅力に溢れています。
- 音楽に関わるきっかけは?
クラシックピアノは3歳からやっていて、昔からオルゴールやグロッケンシュピールのキラキラした音が好きでした。音大卒業後は演奏よりも曲自体を作って録音することに夢中になり、その中で面白い音を探して、トイピアノやおもちゃ楽器を集めるようになっていったんです。当時はトイピアノを楽器としてメインで演奏している方はあまりいませんでしたが、今はブームになったこともあり世界中のアーティストからも弾かせてほしいと声をかけられます。
- トイピアノに惹かれる理由は?
音色と小さくてかわいいデザインが好きなんです。それに同じメーカーでも作られた年代によって細かな仕様や音色が全然違うんですね。100台あれば100台とも音が違うし、ノイズも魅力でした。そこからどんどん集めちゃったという感じです。完全なものは期待していなくて、ちょっとずれていたり、カチカチ音がする感じもノスタルジックで好きです。
- 音楽から見えるフランスの魅力はありますか?
今は少し変わってきている部分もありますが、フランスは文化的な自由度が高くインディーズでもアバンギャルドでも世界的な大ヒットを生み出すことがある。それはこの国ならではだと思います。マニアックでも突然日に当たったり、日に当たらなくても自由に音楽を作る、それが魅力だなと感じますね。
- 今後やってみたいことは?
人形劇が好きなので、生演奏と組み合わせたフェスティバルもやってみたいなと思っています。

トイミュージック・スペシャル
コンピレーションシリーズ
Musique du Jouet 2

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