貴族の邸宅へ遊びに行こう!

今月のミュゼ
Musée Carnavalet
カルナヴァレ博物館
パリにある美術館博物館の数は、大小合わせて130を超えると言われています。代表的なルーヴル美術館、オルセー美術館だけじゃない、個性的で、魅力的な“ ミュゼ ” を紹介していきたいと思います。
今回紹介するのは、カルナヴァレ美術館。現在では若者の集うおしゃれな街、マレ地区に位置し、最寄駅はメトロ1号線サンポール駅。近くにはヴォージュ広場、ヴィクトルユゴー記念館など歴史的な名所もあります。
マレは、フランス語で沼地という意味。かつてこの辺りはその名の通り湿地帯でしたが、12世紀に開発が進み、16世紀中ごろフランソワ一世、アンリ二世の治世には、貴族がこぞって、オテルパティキュリエ(Hotel・Pateculier)、と言われる個人邸宅を建築し賑わいを見せました。その後、貴族の建築ブームはフォーブルサンジェルマンへと移るのですが、16世紀にできた立派な建物は現在も残り、様々な形で引き継がれ活用されています。
カルナヴァレ美術館もその一つ。16世紀に建設されたルネサンス様式の貴族の邸宅と、隣り合う17世紀に建設されたもう一つの邸宅で構成されています。別名パリ歴史博物館とも言われ、パリの先史時代から現代の歴史を重要な美術品と共に辿ることができます。部屋ごとに各時代の特徴を表す装飾もなされていて、それを見るのも楽しみの一つです。狭い入り口からは想像出来ない、光の差日混む開放的な中庭もおすすめで、天気の良い日には一日そこで居座りたくなります。休日にのんびり鑑賞できるそんな美術館です。
妹尾優子
仏語教師の傍、仏文学朗読ラジオ「Lecture de l’aprèsmidi」の構成とナレーションを担当。美術史&日本史ラブ。日仏の文学からアートまで深堀りする日々。
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- note『 旅茶時間 』
- 仏文学朗読ラジオ『 Lecture de l’aprèsmidi 』