作品発表の場としての橋パリで1番古い「新しい橋=ポン・ヌフ」

シテ島の西端を挟んで、パリ1区と6区を結ぶ橋は、日本ではポン・ヌフ橋と呼ばれています。ポンは“橋”を、ヌフは“新しい”を意味し、直訳すると“新しい橋”。その昔、橋の近くでカルーセル麻紀さんが、“Shinbashi”というスナックで働いていたという話を聞いたことがありますが、定かではありません。
それはそうと、橋だけを日本語化してヌフ橋と呼ぶのは何となく微妙ですし、ポン・ヌフだけだとそれが何だか全く判りません。ということで、日本ではポン・ヌフ橋という二重表現に落ち着いたのでしょう。17世紀初頭に完成した、パリで1番古い橋が、実は“新しい橋”という意味を持つとはなかなか不思議です。
さて、そのポン・ヌフですが、幾度となく表現の場となっています。古くは1985年のクリスト&ジャンヌ・クロードによって橋全体をラッピングするという芸術行動の場となりましたし、僕がパリにやって来た1994年には、高田賢三さんが私費を投じて32,000鉢のベコニアで飾りました。2010年にはデザイナーのジャン・シャルル・ドゥ・カステルバジャック
が、ポン・ヌフを建立したアンリ4世の銅像をネオンでデコレーションし、2023年6月のルイ・ヴィトンのメンズコレクションのショーは記憶に新しいかもしれません。
そして今年の6月は、アーティストのJRによって橋の上に巨大な洞窟のオブジェが設置。実際に中に入ってみると、ただの空洞。「何をしたかったの?」という感じでしたが、「芸術とはそんなもの」なのかもしれません。1ケ月のあいだ、左岸からしか渡れない、一方通行だったのは迷惑千万でした。芸術や文化事業という名の示威行為の餌食になっているのかもしれず。ちょっと可哀想なポン・ヌフなのでした。
トモクン
トモクンという名の45歳。在仏27年。ファッションジャーナリスト(業歴17年)は仮の姿で、本当はただの廃品回収業(業歴5年)。詳しくはブログ『友くんのパリ蚤の市散歩』にて。
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