映画は「見る・知る・作る」で、もっと面白い!――映画教育から見えるフランス、そして日本

【今月のお客様】

工藤 雅子 さん

今回お話を伺うのは、アイルランドやフランスのアニメーション、イタ
リア映画を多く配給する映画配給会社「CHILD FILM」代表の工藤雅子
さん。大手配給会社で20数年映画買付や宣伝に携わってきた工藤さんで
すが、現在は社員2人で様々な活動をされています。映画をより深く楽
しむには?おすすめのフランス映画は?またフランスの映画教育事情に
ついてもお聞きしました。

映画が
「第7芸術」と呼ばれる理由

 はい。子どものための映画紹介のウェブサイト運営や、映画教育の活動もしています。映画は、「見る・知る・作る」の3つで成り立つということを大切にしていて、上映会やワークショップ開催
を年に1、2回、15年ほど続けています。

フランス関連では東京日仏学院で、私が大好きでフランス人なら知らない人はいないミシェル・オスロ監督(『キリクと魔女』などを監督)の特集上映を10日間やっていただきました。すごく楽しい上映会でしたし、その時もワークショップを行いました。見て終わりじゃなくて、それについて何がしかの体験をすることで学びになる。ある時は、映画に出てきたヒエログリフ(エジプトの古代文字)で自分の名前を書いたり、アフリカの太鼓、ジャンベを叩いたり、衣服を着てみることで、その映画を深く味わうことができるんです。

フランスは、1959年に文化省が設立され、著名な小説家アンドレ・マルローが初代の文化省大臣に就任して、映画を含めた文化の保護政策を強く打ち出すんです。それによって、CNC(CentreNational du Cinéma et de l'image animée)という国の組織が作られました。映画館でチケットを1枚買うと、そのお金の一部がCNCにわたる。どの国の映画を見ても、です。そのお金を使ってフランス映画の制作や映画教育を充実させています。フランスでは映画は7番目の芸術、「第7芸術」と呼ばれているんですが、それは多分、映画がリュミエール兄弟によってフランスで発明された自負だと思うんです。

夏休みは「映画ナイト」で盛り上がる

1989年から、CNCと国民教育省が主導して、小中高校が映画を見るプログラムを始めました。元は80年代の映画館の壊滅的な状態を支援するための施策の1つだったと聞いています。子どもが見るべき映画を50本以上リスト化し、県や市のコーディネーターが選んだ映画を子どもたちに見てもらう。事前に授業で先生が映画について解説してくれるんですよ。

 「こども映画教室」という一般社団法人が文科省のプログラムを使って、学校に出向く活動をしています。映画を見せるだけでなく対話をするワークショップや、短編制作が行われ、この15年で日本の映画教育はずいぶん変わってきたんですね。ただ、学校教育に映画を入れるのは難しさもあって、強制的に見せられて映画が嫌いになるリスクもあります。一方で、所得格差が広がる中で映画体験のない子どもたちに映画と出合う機会を作る大切さも考えていかなければいけない。だからこそ見せて終わりじゃなくて、どんな映画だったのか?なぜ今この映画を見るのか?を一連の流れとして見てもらう機会を作る重要性は高まってるんじゃないでしょうか。

 子どもの時に見てわからなかった映画を大人になって見たら感動した経験はありませんか。年齢や体験によって受け止め方は変わるので、一度に全てを理解しなくてもいいのではと思っています。
それに子どもの心はとても柔軟なので、私たちが思いもしないシーンで笑ってるんです。仏映画でおすすめは『赤い風船』です。ほぼセリフがなくて小学生の少年が赤い風船を持ってパリの街を歩くだけですが、ポエジーで大人も子どもも楽しめる名作です。それとジャック・タチ監督の『のんき大将脱線の巻』は無声映画ですが、郵便配達の男が主人公で本当に笑えます。


*CHILD FILM配給の映画情報
『ダイヤモンド 私たちの衣装工房』

6/19~新宿ピカデリー他全国順次公開!

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